STAY MINIMAL

一口馬主は投資として儲かるのか?1年間でかかった費用と収益

念願の一口馬主になって2年が経った

趣味の一つとして昔から馬が走る姿が好きで、入り口こそギャンブルとしての競馬だったけど、血統の奥深さや騎手達の戦いとか気がつけばどんどん競馬の魅力にのめり込んだ。当然のように、「一口馬主になりたい」という思いは強くなっていった。

2年前にクラブへ入会し、ついに念願の一口馬主になれた。当歳馬(1歳馬)を購入し、去年の夏にデビュー戦を迎えた。自分の馬が必死になって調教とかゲート試験を頑張ってきて、少しずつ成長してレースに出走する。馬好きとしては何とも言えない高揚感で胸が熱くなったのを今でも覚えている。

競馬に興味のない人は何のことかさっぱりかもしれないけど、競馬をやっているファンにとっては一度は夢見るであろう馬主。でもやっぱり気になるのは、実際のところ一口馬主ライフってどうなの?って部分だと思う。なので、今回は僕のこれまでの経験を踏まえて一口馬主になるってどんな感じなのかお伝え出来ればと思う。

  • 単純に一口馬主って儲かるのか?
  • どのくらいお金がかかるのか
  • どんな楽しみがあるのか

などなど、僕なりに出来る限り赤裸々に書いていきたいと思う。

一口馬主ってどのくらいの費用がかかるの?

f:id:kei_ta1211:20170205105423j:plain

今回は僕が入会しているシルクホースクラブさん(以下、シルク)を例に紹介していく。まずはシルクでの馬主になってから2年間の収支をざっくりとご紹介してみようと思う。シルクは1頭の口数が500口になっており、少額の資金で一口買うことができるのがポイントだ。各クラブの情報とか比較をしてみたい方はこちらのサイトをどうぞ。

まずは一口馬主になった2015年、入会金と毎月の会費と一口の申し込み金額が発生する。僕が出資した馬はウィッシュノート(デイトユアドリームの14)カリンバ(アフリカンピアノの14)で、それぞれに出資金を出している。入会については、一口の出資が完了して初めてクラブ入会となる。一口出資が入会の前提となっている。

f:id:kei_ta1211:20170114183712p:plain

毎月の支払いの中でクラブの会費は一定額の¥3,240。この金額は何頭持っていても変わることはない。

ここから毎月1頭あたりの馬のご飯代とか寝る場所代などの維持出資金、保険出資金が加算される。下記は一例として2016年6月の維持費を抜き出してみた。

f:id:kei_ta1211:20170115104207j:plain

これは入厩していない場合の金額。おおよそ40万円程度になるため、これを1/500口で割ると維持費は大体1口あたり800円前後になる。これが入厩する(レース前の調整期間)になると1頭あたり60万円〜80万円で、一口あたり1000円前後になる。 

 次にレースに出走して入賞した場合、本賞金に特別手当などが加算され賞金合計が決まる。あとは▲源泉徴収票、▲進上金、▲クラブ手数料、▲消費税が差し引かれた金額を口数で割る。僕はシルクで1口持っているので分配金も1/500となる。

f:id:kei_ta1211:20170115105352j:plain

出走しただけでも奨励金があり、牝馬限定戦なら特別出走手当も賞金になる。1/500口ならこのぐらいの賞金額になってしまう。2口以上持っている場合は、2/500、3/500となり維持費と分配金が2倍、3倍と増えていく。

大体の計算はこちらの配当シミュレーターを使っても算出できるようになっている。僕の実際の収支表と比べてみても大きな乖離はないため、ある程度信憑性はありそうだ。もし、自分が一口馬主になってレースを勝ったときどのくらい貰えるのか知りたければ活用して見るべし。

これまでの各クラブ馬の収益など、一口馬主に関するあらゆる情報は一口馬主DB :: 一口クラブ馬の総合情報がおすすめなので活用してみてほしい。

ぶっちゃけ一口馬主は儲かるのか?

誰もが気になる点だと思う。そこで僕の2016年の収支を一覧表にしてまとめてみることにした。

新馬戦のデビューが7月ごろなので実質レースに出走するチャンスがあったのは6ヶ月間だ。2017年は3歳になって1年間レースに出走できるチャンスがあるため収益は多少は改善するかもしれない。(いや、して欲しい)

出資馬の2016年度の戦績と収益を見てみる

まずは戦績の確認、ウィッシュノートはデビューから6戦しているタフな子だけど3着が最高。ダート路線で来たけど、一度芝レースも使ってみてもらいたい。

ウィッシュノート 6戦 0-0-1-5 2016年総収益:7,717円

f:id:kei_ta1211:20170114140141p:plain

カリンバ  1戦 1-0-0-0 2016年総収益:0円

f:id:kei_ta1211:20170114140254p:plain

カリンバは勝利しているけど振込は2017年のため分配金の中には入ってこない。新馬戦を勝利したときの報酬約1万円程度が来年の分配対象金に載ってくるはず。

というわけで、ちょっと小さいけど1月に送られてきた収支明細書の金額を添付してみる。

f:id:kei_ta1211:20170204123924j:plain

というわけで2016年の分配金は7,717円、損失は38,880円だった。

ただ、来年度以降は3歳になって出走レースを増やせるので応援していきたいと思う。ちなみにウィッシュノートはまだ未勝利のため、夏までを目処に未勝利を脱出しないと引退になる可能性がある。(がんばれ!)

データをもとに「儲かるか?」という視点から一口馬主を分析

実際に一口馬主になってみて分かったのが、会費などの維持費がそれなりに重なること。例えば、シルクホースクラブの自分の馬で仮にクラシックへの登竜門であるG3レース「共同通信杯」を勝ったとする。配当シミュレーターをもとに計算するとこんな感じになった。

f:id:kei_ta1211:20170114142552p:plain

1着の賞金は約3,700万円で色々と控除された差し引き金額を口数で割る。シルクの場合は、1口あたりの分配金額は約5万円となった。会費¥3,240と維持費約¥1,000を1年間払うとしてこちらも5万円程度かかる。つまり、一口で1年間の維持費を取り戻しプラス収益にしたいのであれば、毎年重賞を勝つような馬を持つ必要がある。

それだけの天才的な相馬眼があれば話は別だけど、おそらく厳しいだろう。一般的に判断するのであればデータを見ておくに越したことはない。というわけで現4歳馬(2013年産)のデータをシルク所属のクラブ馬(2013年産)一覧 :: 一口馬主DBの数値もとにグラフ化してみた。

全63頭のうち勝ち上がった馬は全体の49%で約半数。2頭に1頭は4歳まで現役で活躍していることが分かる。このうち、3勝以上している活躍馬は全体の11%しかない。

f:id:kei_ta1211:20170114212433j:plain

0勝のまま勝ち上がれなかった馬は全体の48%となっている。1勝の壁がどれだけ厚いものか分かるだろう。

グラフには載せていないが、11頭のうちオープンクラスまで上がれているのはわずかに4頭、重賞勝利馬は2頭、G1勝利馬は0頭だ。

f:id:kei_ta1211:20170114214412j:plain

次に一口出資金に見る回収率を見てみる。回収率100%以上は11頭、出資馬金額を見てみると1頭の平均額は2,430万円で1口あたり4.86万円だ。高額な馬に出資したからと言って回収率が保証されるわけではないことが分かる。ちなみにこの回収率にクラブの会費などは含まれていない。

ここまで見れば、ある程度の現実が見えてくるだろう。

一口馬主の理想と現実として知っておきたいこと

今度は僕が実際に一口馬主を経験してみて感じたことを意見としてまとめていく。

一口馬主は長期的な趣味

f:id:kei_ta1211:20170114222600j:plain

まず初めに一口馬主は長期的な視点から考える必要がある。単純に1歳で買った馬が5歳で引退するまでには5年もの歳月が必要になる。馬も生き物なので、たくさん走ればそれだけ疲れてしまう。長い目でじっくりと馬の成長を待つくらいの余裕がないと楽しめない。

決して短期で利益を上げられるものではないし、その道のりは思った以上に厳しいものだ。僕も初めのウキウキワクワクな一口馬主としての感情から2年が経ち、より現実的な目線から一口馬主ライフを眺められるようになってきた。

もし一口馬主で儲けることを第一に考えたいなら知っておくべきこと

2年間で学んだことだけど、もし本当に収益を上げようと考えているのであれば、

  • 参加するクラブを絞って1頭あたりの口数を増やす
  • 同じクラブで多頭数を持つ

こういった方法しかないんじゃないかと思う。どんなクラブであっても会費は必ず一定額かかるので、会費における1頭あたりの収益を最大化させるためには大口で馬を持つ多頭数持つ必要がある。例えば、サンデーサラブレッドクラブ・社台ホースクラブなどがそれに当たる。

この2つのクラブは1頭を40口で割ることになる。シルクホースクラブの500口と比べると1頭あたりの維持費も賞金も10倍以上になる。

先ほどと同じようにG3の「共同通信杯」を勝利した場合の持っている口数による分配金をシミュレーターで見てみる。左がサンデーサラブレッドクラブで1/40口で持った場合、右がシルクホースクラブで1/500口で持った場合だ。

f:id:kei_ta1211:20170114154710p:plain

どちらのクラブも会費は同じ¥3,240なので、年間で¥38,880かかるのは決まっている。そもそもこの年間会費分を稼ぐためには1頭の分配金が高くないとモトが取れないと言える。分配金を上げるためには、1頭あたりの口数を多くして分配金を上げるか1つのクラブで多頭数持つかになってくる。

シルクホースクラブでも1頭に最大で10口までは出資可能なので、1/50口まで口数を増やすことは可能だ。

口数が多くなるほど1発当たったときの収益幅も当然デカい。競馬好きならご存知かもしれないが、サンデーサラブレッドクラブで募集されたジェンティルドンナは回収率5077%, 一口あたりの分配金はなんと4,000万円を超えている・・・(本当に家が建てられてしまう)

ジェンティルドンナ - クラブ馬情報 :: 一口馬主DB

じゃあ、あとは本当に走りそうなスゴい馬に一点でぶち込んじゃえばいいのでは?と思うだろう。 そこまで気付くと次の問題が発生してくる。

本当に欲しい馬なんて簡単に手に入るもんじゃない

f:id:kei_ta1211:20170205105448j:plain

本当に欲しい馬を手にいれるために必要になってくるのがお金だ。単純に自分の気に入った馬に出資したくても、出資自体には優先枠と抽選枠がある。この仕組みを理解しておく必要がある。

優先枠は過去3年間の出資実績をもとに決定される。簡単に言えば、これまで3年間でたくさん出資してくれた人から優先的に一口を割り振りますよ、ということだ。

つまり、キレッキレの相馬眼、現地での視察、血統などを加味して目ぼしい馬を絞り込めたとしても、クラブへの実績が全くゼロであれば希望の馬に出資できる可能性は残念ながらかなり低くなる。

この出資実績が鬼門で、いわゆる人気馬に確実に出資するためには過去出資実績で200万〜900万以上(!)は必要になってきたりする。詳しい内容をまとめているブログ(シルク抽選結果およびボーダーライン発表! - アラクレ魂厩舎、いざダービーへ!)もあるので気になる方は参考にしてみてほしい。

だから本当に走りそうな馬へ確実に1口以上出資するためには、何百万円という資金をつぎ込むかラッキーで抽選枠を引くかになってくる。ちなみに2015年産駒の抽選で人気だった馬の抽選枠200口に1000口〜2000口以上の応募があった。

同じように一口馬主として夢を追いかけたい人がたくさんいるし、クラブもより多くの人に馬主ライフを楽しんでほしいのが本音だと思う。様々な背景があるがゆえ、いかに思い通りの馬に出資ができないかが分かる。

走らない、怪我、勝ち上がれないというリスクとも向き合う

一口馬主を単なる投資として考えた場合、これほど高リスクな金融商品はないと思う。だって、そもそも馬に走る気があるかどうかも分からないし、実際に出走できてもいつ怪我や病気になってしまうか分からない。あらゆる要素をもとにすれば「絶対走る」なんて保証はどこにも立たない。 

まして、高額な馬だからと言って必ず走るわけではない。全く勝ち上がることもなく競馬界から消えてしまうとすれば多額の資金をつぎ込むリスクは大きい。ただ、金額のリスクが高いほど勝った時の分配金も大きくなっていく。 

馬好きとして得たものは収益なんかじゃなく、馬主としての喜び

とはいえ、現実にトコトン向き合って納得した上で、自分の出資した馬が出走した時の喜びは本当に格別だ。損をした、得をしたなんて正直どうでもよろしい。自分の馬が強い勝ち方をしてくれればなおさら期待で胸が一杯になる。

f:id:kei_ta1211:20170114215742j:plain
デビュー戦を勝利したカリンバの写真が送られてきた

今回、初出資となった2頭のうちカリンバは強い勝ち方をしてくれた。出資の理由は血統と馬の顔が好きだったからという理由なんだけど、実際に走る姿を生で見る興奮と感動は何にも代えがたい。特にカリンバは牝馬クラシックも目指せる可能性もあるため、期待と楽しみは毎日増えていく。

実際に週1程度で近況メールも送られてくる。愛馬がどんな状態で、どんな性格で、何をしているのか。これだけでも馬主としての自覚みたいなものを感じられる。


f:id:kei_ta1211:20170114220951p:plain


こうやって日々受け取るメールに一喜一憂したり、実際に出走の日に競馬場に出向いたり一口馬主を通じて自分の馬が成長していく姿が見えるって馬好きにとっては嬉しすぎる。一口馬主、楽しいよ!

クラブとの付き合い方と一口馬主で何を得たいのか明確に

一口馬主をする以上、お金と時間がかかる。馬主を夢見て一口馬主になっている人も多いけど、やはりお金の問題が一番の辞めてしまう理由になっていると思う。

僕の結論は、一口馬主はお金のかかる夢のある趣味だけど夢をみたいから続けている

今後、続けていくかどうかはお財布や収支、自分の感情と相談していくことになるけど長期的な目線で見ても今のタイミングしか楽しめないことだと思っている。気になる人は本もあるので参考にしてみてほしい。

最後に、僕はこれからも競馬を通じて色んなドラマを追いかけていきたいなぁと思っている。斜陽産業と言われようが、単なるギャンブルだと言われようがそれは人それぞれの意見でしかない。僕が楽しめればそれでいい。

一口馬主になってみたい、と思っている人はもう一度自分の気持ちと相談して決めてほしい。覚悟が決まれば、あとは自分が出資した馬と同じ時間をゆっくりと楽しむだけ。夢や楽しみがあっていいものですよ。

 

以上、最後までお読み頂きありがとうございました。

過去記事競馬の深い魅力と面白さを熱く語りたい【日本ダービー開催記念】

過去記事一口馬主として愛馬のデビュー戦を全力で応援してきた【競馬】